画家としての原点・原風景

我がふるさと綾部

私のふるさとは、京都の北の方に位置する小さな盆地である。少年の頃いつも小さな裏山の木にのぼり、霧に霞む山の連なりの向うを夢みていたような気がする。ふるさとの風景は、父母と同じ。私の原点になっている。盆地に深く溜まる冬の霧は、私のガッシュ画の成り立ち、そのもののような気がする。

画家の目でふるさとを歩く

ふるさとを出てからの年月の方が、はるかに多くなってしまった。改めてふるさとをスケッチして歩いた。住んでいた時は、そこにあるのが当たり前の風景も、旅人のような、違った目で見ていることに気づく。新しい美しさの発見がある

冬の霧

 ふるさとの冬の一日は、霧で始まる。朝、深い霧の中を自転車で駆けていると、見慣れた風景も隠れて、自分だけが存在する不思議な空間に包まれる。この霧の中の風景が、私の風景画の原点である。この霧を表現するために、描き方を試行錯誤したように思う。

ゆるやかに蛇行する河を描く

街の真中をゆるやかに蛇行する河がある。日本のどこにでもある風景。U字に曲がった場所を探して描いてみよう。ゆったりカーブした河は、流れを追って冒険を感じる奥行きが出る。私の好きだった場所は、「ましリ」と言う、おどろおどろしい名前がついていて、子供が近づいてはいけないと厳しく言われた、冒険の場所だった。

 

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